実は主なビジネスカードは代表者与信(個人の与信審査)で発行されています。基本的には法人カードの皮を被った個人カードなんです。
ビジネスカードの種類について
法人カード(ビジネスカード)には大きく分けて2種類あります。
- 審査時に代表者(副業・個人事業主含む)の個人信用情報を用いるビジネスカード
- 審査時に個人信用情報を用いないビジネスカード
ここでは、個人信用情報を用いるビジネスカードについて説明させていただきます。
ビジネスカードについて、カード会社各社の会員規約を読みますと・・・
JCB CARD Biz(2024/3/31時点)
第14条 (個人信用情報機関の利用および登録)
1. 本会員および本会員として・・・割愛・・・以下のとおり同意します。 (1) 本会員等の支払能力の調査のために、両社がそれぞれ加盟する個人信用情報機関(以下「加盟個人信用情報機関」という。)および当該機関と提携する個人信用情報機関(以下「提携個人信用情報機関」という。)に照会し、本会員等の個人情報が登録されている場合はこれを利用すること。
三井住友オーナーズカード(2024/3/31時点)<長いので閉じてます>
「2.個人信用情報機関への登録・利用
(1)本会員及び本会員の予定者(以下総称して「本会員等」という)は、当社が、本規約に係る取引上の判断にあたり、当社が加盟する下記の個人信用情報機関(個人の支払能力に関する情報の収集及び当該機関の加盟会員に当該情報を提供することを業とする者。以下「加盟信用情報機関」という)及び加盟信用情報機関と提携する下記の個人信用情報機関(以下「提携信用情報機関」という)に照会し、本会員等及びその配偶者の個人情報が登録されている場合には当該配偶者の情報(当該各機関の加盟会員によって登録される契約内容、返済状況等の情報の他、当該各機関によって登録される破産等の官報情報等を含む)を本会員等の支払能力の調査の目的に限り、利用することに同意します。」
という記載があります。
これらはカード発行審査の際に個人信用情報機関(CICやJICなど)への登録・利用を行う
ということを示しています。
巷ではブラックリストと呼ばれていますが、ブラックリスト自体は存在しません。
個人信用情報として登録されている情報のことを誰かがそう呼んでいるだけかと。。。
ちなみに、各ビジネスカードの会員規約は以下の表になります。
個人信用情報機関 への登録・利用 | ビジネスカード名称 |
---|---|
会員規約に記載あり | 三井住友カード ビジネスオーナーズ JCB CARD Biz JCB法人カード アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス |
会員規約に記載なし | 三井住友ビジネスカード |
要するに、
個人の信用情報をベースにして、法人カードの機能・サービスを持ったビジネスカードを発行しますよ。
ということになります。(ただし、発行対象が法人の場合、法人情報も含めた総合的な審査と各社さんは仰るかと思います)
繰り返しになりますが、
法人カードの機能やサービスが付帯された個人カードなんです。
なので、
副業の方でも申込OK。としているカード会社もありますから副業の方でも遠慮しなくていいですし、
わざわざビジネスカードを発行しなくても、個人カードで事足りる。ということでもあります。(どっちやねん!)
大事なのは、
- 公私を分離する環境を整える。
- 決済手段としてのクレジットカードを持つ。
ことだと思います。
ビジネスカードあるある(税務署対策、公私分離)
1枚のクレジットカードを使いまわしていて、
そのカードの利用明細に個人利用(生計費決済と呼ばれています)と経費(事業費決済と呼ばれています)が混在していたとします。
税務署から、以下のように指摘されてしまった場合、
3月〇日のレストラン利用がプライベート利用で、3月●日のレストラン利用が経費。どう違うんですか説明・証明してください。
なかなか税務署員を納得させる説明をするのは難しいと思います。
見られて、疑念を抱かれて、余計な指摘を受けないためにも、
公私を分離するために、事業用途ONLYのカードが準備されているんだと思います。
なので、
税理士さんに言われたからビジネスカードに申し込んだんです。
という電話を前職で良く受けてました。
前段が長くなってしまいましたが、
一般的な個人与信の法人カードのメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
ビジネスカードを個人の与信審査で発行するメリット
- 事業開始直後の副業・個人事業主、設立直後のスタートアップでも法人カードを持つことができる。
- インターネット上での手続きだけでサクッと発行できるケースがある。(登記簿謄本等の提出不要)
- カード会社Aで既に個人カードを持っている場合、A社でその既存利用枠内で発行できるケースが多い。
繰り返しになりますが、
ビジネスカードと名がついているものの、法人カードの皮を被った個人カードですので、
個人の信用情報をベースにビジネスカードの発行審査が行われます。
なので、副業の方でも、個人事業主さんでも、社長さんでも、
臆することなくビジネスカードに申し込んでも差し支えないと思います。
個人カードと同様にインターネット上の手続きだけでカード発行できるようになってきてますので、
インターネット上で本人確認(特に口座振替設定)できるのであれば、
想像しているよりも手間は掛からないかと思います。
また、既にA社の個人カードを持っている場合、個人与信のビジネスカードをA社に申し込むと、
既に持っているカード利用枠内でビジネスカードが発行されるケースが多いと思いますので、
これも臆する理由はありません(但し、延滞状況によっては、発行が難しいケースもあります)
私の場合、うっかり間違って利用することを避けるために、
既に持っていないカード会社に申し込んでデザイン・色の違う事業用カードを準備しました。
こればっかりは人それぞれです。
ビジネスカードを個人の与信審査で発行するデメリット
デメリットというのは私たち側の受け取り方にもよりますが・・・
- 代表者個人への与信で発行する為、従業員への発行は使い込みリスクがある。
- 既に個人カードを持っているカード会社で発行すると既存の利用枠をシェアことになる。
- (個人与信なので)延滞、滞納などで個人の信用情報が悪くなるケースがある。
個人与信のビジネスカードの場合、
私の嘗ての経験では、基本的には自分と家族にしか発行しないケースが殆どでした。
既に個人カードを持っているカード会社に個人与信のビジネスカードを申し込むと、
既存の利用枠内で発行されやすいのがメリット。と書きましたが、
利用枠をシェアすることでカード利用枠が足りなくなることも考えられます。
そういう場合は、WEBや電話で、カードの利用枠の恒常引き上げ依頼。をするか、
別のカード会社でビジネスカード(or個人カード)の申込をする必要があります。
最後に気を付けていただきたいのは、個人の信用で発行してもらうカードですので、
ビジネスカードと名前がついていても、延滞や滞納等で個人の信用が傷つく可能性があります。
そのことを十分気をつけて、ご利用いただければと思います。
以上を踏まえて私たちが取るべき戦略としては、
①まずは既に個人カードを持っているカード会社の法人カードを申し込む。
②他社で違うブランド(既にVISAを持っている場合はJCBやAMEX)の法人カードを申し込む。
が良いかと思います。(あくまで個人の意見です💦💦💦)
個人信用情報を用いない法人カード(法人与信のビジネスカード)については、また別の機会に。